「アイシング」と「冷え」は全く別物です。
アイシングは生理的局所冷却、冷えは全身冷却です。冬場の外出や夏場のクーラーは全身を冷やします。これは免疫力を低下させ風邪などをひきやすくします。
では、ケガや痛い場所は温めたほうが良いのでしょうか。答えはＮＯです。
ケガで損傷した場所や関節が歪んだまま動いていると筋肉や腱、また関節の軟部組織に負担が増え、摩擦抵抗が高まり熱を発生させます。この熱が関節 などの細胞膜を破壊し、細胞の内容物が外に流れ出ると化学反応が起こり、炎症を引き 起こします。
つまり「痛み＝炎症＝熱」なのです。
お風呂やカイロ、ホットパックで痛い場所を温めると痛みが和らぐことは経験で知っています。多くの整形外科や治療院では温熱療法をされているでしょう。
これは、脳や神経は温度が高まると感度が鈍くなり、痛みを感じにくくなります。温めることが神経を眠らせて痛みを緩和させる恩恵だけであれば、温熱療法に異論はありません。しかし、温めると熱や炎症が増して、身体を構成するたんぱく質や脂質を破壊してしまうのです。
このことから、急性は冷却、慢性は温熱も間違っていることに気付くと思います。
炎症による熱は、局所に蓄積し、長い年月をかけて関節軟骨や骨までも溶かしてしまい「変形性関節症」を引き起こします。痛みが出て病院でレントゲンを撮ったときに、痛みの原因は関節が変形しているからですと言われた方も少なくないと思います。それは、結果であり原因ではないのです。
局所をアイシングすると、身体の無駄な熱を奪い、炎症を抑え、たんぱく質の破壊を防ぎます。熱がとれると化学反応が減るので、痛みが消え鎮痛効果 も得られます。関節の変形の予防にもなります。つまり生理的局所冷却法は一石二鳥なのです。
膝に水がたまることがあります。これは、自己防衛の姿です。膝関節の炎症を体内の水を集めて冷まそうという反応です。したがって水を抜くのではなく、膝関節をアイシングして自己防衛の手助けをしてあげて下さい。
くぼた整骨院では炎症に対して氷を使います。
氷は人の成分と同じ水ですから、効率よく熱を奪えます。
直接肌に当てるのは、氷が溶ける時の温度が一番冷却効果が高く、効率が良いからです。
お風呂上りには全身に過剰な熱が入ってきているので、局所冷却のタイミングにはおすすめです。
氷嚢やアイスバックを使用すると水漏れの心配もなく便利です。部位にもよりますが、20～40分、痛みが強い場合は氷を入れ替え何度でも行って下 さい。やり過ぎによる弊害はございません。
アイスノンや保冷剤、また霜がついた氷は、0度以下になっており熱吸収速度が高すぎるので、凍傷という問題を引き起こす危険があります。
タオルなどでくるんで使用すると、冷却効果が低下するので、必ず水洗いして霜を取り除いた氷でアイシングを行って下さい。
また全身を冷やしてしまうと免疫力が低下してしまうので、しっかり重ね着をしたり暖房で部屋を温かくした状態で、痛みのある局所だけを冷却して下さい。

※レイノー症や寒冷蕁麻疹をお持ちの方や、甲状腺部、心臓部へのアイシングは控えて下さい。